ヘッダー写真:(財)消防防災科学センター災害写真(平成21年7月中国・九州北部豪雨)出典
令和元年の今年、関東に上陸した台風15号、またその後東海から東北に上陸通過した台風19号並びに台風20号による河川氾濫に伴う甚大な風水害の被災に心よりお見舞いを申し上げます。また台風でお亡くなりになられた方々に心よりご冥福をお祈りします。
近年国土上の気象は稀に見る気候変動が重なり、豪雨を始めとする極所的かつ集中的な風水害が多発する気象が目立つようになりました。比較的冬から春にかけては寒冷に包まれる通常の季節ではありますが、初夏を過ぎた辺りからは危険を感じる程、強く照りつける陽射しには屋外を歩くのにも身を守るための対策が必要になりました。
今年9月千葉県に上陸した台風15号、そして10月に上陸した台風19号。この2つの台風は大きさも性質も対象的で、台風15号は暴風で60mの鉄塔を根本から倒壊させる程の被害をもたらし、20号については国土の広い地域で河川堤防を超える甚大な洪水被害をもたらしました。
近年気象庁も豪雨や台風が近づく度に「命を守る行動を」と伝え、一人一人が災害から身を守るようにと呼びかけるようになりました。もう非常時においては他人まかせではなく、地域での連携そして自分の責任で判断し行動することが求められる時代だと感じるこの頃です。
そこで改めて災害から身を守るために知ることは住んでる地域ごとに作られている防災マップ(ハザードマップ)の確認です。
こちらは住まれている地域や自治体ごとに地震や水害といった非常時において地域に危険が及ぼす範囲をもとに作られた地図情報です。もちろん住んでいる地域内であれば誰でも見ることが出来、避難所の場所なども確認することが出来ます。
その他、活用出来るものとしては国土交通省が公開している「地点別浸水シュミレーション検索システム」です。こちらは日本各地にある河川からの浸水被害をシュミレーションによって見ることが出来る情報です。国土交通省「地点別浸水シュミレーション検索システム」
現在は日本国内にある代表的な河川が閲覧出来るシステムとなっていますが、サイトの案内では順次提供する情報を拡大すると伝えられています。
システムを開くと知りたい河川を選択することで河川沿いにある地点をもとに浸水エリアを色で表示。さらに氾濫した際の浸水到達時間や浸水継続時間まで見ることが出来るシステム。こうした情報は予測に活用することが出来、平常時に知ることによって非常の際も慌てず、予測される洪水や浸水被害から未然に身を守ることに繋がります。
また住宅や家屋についても現在建っている場合はどの高さまで浸水が及ぶのかや、これから住まいを考える方にとっては事前に浸水予測を知ることで立地についても役に立つツールとなります。建築自体は選択により自由に築けますが立地から受けるものは最初の選択で全てが決まります。
地震からの影響については耐震等級を高めることで大きな地震にも耐えることが可能になってきています。また豪雨や台風についても最先端の気象情報で雨量予測などが読み取れる時代です。ただ河川を取り巻く治水環境は、発達した現代の気象状況に対し追い付けていない状況が各地で増えて来たことにより、今後は治水計画の見直しや河川整備の改善など取り組みが急がれるものと感じます。今後も災害級の気象が発生することを想定しながら役に立つツールは仕事においても活かして行きたいと考えています。
被災された地域の一日でも早い復旧と心労の回復を心より願っています。
(文責)とやま建築デザイン室 外山秋人