宮崎県児湯郡の建築設計事務所「とやま建築デザイン室」

宮崎県児湯郡にて住宅設計に関わるご提案を行っています。

最終気密試験

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気密試験機材セットの様子

昨年より建設を進めてきた椎の木ハウス。今月末の完成を前に2回目となる最終気密試験を行いました。こちらの現場では中間時にも同様の試験を行いましたが、中間時ではC値1.8と思うような結果が得らえなかった分、中間時からどう改善出来るか出来たのかの検証を確認するのが今回の試験の目的です。

気密試験機材セットの様子

前回同様に開く小窓の場所を使っての試験。窓を開けた枠周りにしっかりシートで目張りし準備を進めます。写真は目張りしたシートに外気温計測用のセンサーを設置しているところです。

気密試験機材セットの様子

目張りシートに固定されたものが室内の空気を集め外部に送り出す整流筒と送風機で、整流筒の中間に通気量と圧力差を計る機器がセットされています。床に置かれているものが送風機から送られてきた通気量や圧力差を記録する本体機器。気密試験といえばこの送風機を用いた減圧式による気密測定が一般的で、室内の空気を収集し外気へ送り出すことにより室内の隙間面積を算出していく計測方法です。

気密試験前室内チェック

測定前に室内全体の窓の戸締り状態の確認を始め、設備関係のダクト周りの壁貫通口部の密閉状態(養生)の確認の他、水回り機器の封水状況など確認し問題がなければ計測を開始します。

気密試験測定器

準備が整い試験開始。送風機から送られるデータとしては通気量と圧力差の他、外部内部の温度情報の3つ。ちなみにピンク色のチューブで青と赤のテープが巻かれてるものが通気量、テープが巻かれてなく黄色の差し込みに繋がれているものが圧力差を計るチューブ。温度はその横の2本の配線です。

最終気密試験結果の数値表 一回目

気密試験1回目。5分ほど実施して出た結果はC値=0.8㎠/㎡。。。0.8㎠/㎡??。前回中間時の試験では1.0を切っていなかったため少し驚きましたが確かに数値は0.8㎠/㎡。間違いなく0.8㎠/㎡!これでC値1.0値は達成したことになったわけですが、壁のダクトの一か所に空気漏れがあったことがわかり、そこを養生して2回目の試験を行った結果、画像はありませんが数値はC値0.6㎠/㎡に向上。隙間特性値(n)も1回目の1.70から1.28へ向上。その後、最終テストとして今回の住宅が引き戸式の造作建具の玄関戸だったため、扉の養生を現状に近い状態に戻し最後のテストを行うことにしました。

最終気密試験結果の数値表

3回目最終のテストを終えて出た結果、C値は0.8㎠/㎡。...ん?0.8㎠/㎡??一番の懸念事項だった引き戸周りの隙間を現状に戻しても0.8㎠/㎡...。引き戸の隙間はある程度やむを得ないと考えていましたが、これで1.0を切るなら充分な手応え。振り返れば設計時から引き戸周りの隙間対策を念入り考え、施工でその対策が果たせたのだと実感に至りました。また隙間特性値については2回目の1.28よりは評価値は下がったものの1回目の値より向上し1.44。n値特性の1から2の中間値付近に留まりました。

最終気密試験結果の特性グラフ

もう一つ評価としては測定で計測されたものから圧力差(縦軸)と通気量(横軸)の関係を示すこの特性グラフも見ておくべき内容です。どういうことかと言うと、このグラフで傾いている線が先ほどのn値(隙間特性値)を示し、この線の上または周りにある5つの丸点がその時の圧力差と通気量の測点になります。この点が線から外れた場合、その試験は外気や風などの外的要因の影響を受けた内容であることを示し、その結果適切な環境で評価されたものから外的要因を受けて得た評価になるということ。線の上に点が乗っていることがそのテストが理想の環境で行われた証であることと今回の検査員の方から教えて頂きました。

完成が近づく椎の木ハウスの外観の様子

住宅における気密試験は気候変動が加速していく昨今、必須事項になりつつある感触を得ています。しかしながら、数値については高気密を謳うならば1.0を切ることが最近の業界の動向でもあり、設計図で目標値は示せたとしても数値を満たす施工が伴わなければ実現は致しません。今回は1.0を切ることを設計の特記事項に記載していましたが、中間値ではなぜか1.0を切れませんでした。しかし、最終試験では1.0を切る結果となり、あらためて設計と施工が間違っていなかったことを実証出来ました。そう言った意味では設計も施工も現場一丸となって進めていくことが今後も求められていく形だと実感に至りました。

現場の工程も一部を残しほぼ終了に近づいてきました。残りまで監理者として見届けて参ります。