宮崎県児湯郡の建築設計事務所「とやま建築デザイン室」

宮崎県児湯郡にて住宅設計に関わるご提案を行っています。

ウッドロングエコ

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ウッドロングエコ カタログ画像

建設を進めている「椎の木ハウス」。今回、外壁は杉板張りの無塗装仕上げとして進めていたところ、工事途中にお施主様より仕上げ塗装を施したいとの要望を受けて、急遽塗装を行うこととなりました。塗装と言っても「着色」を行うのではなく仕上げ材の「保護」が目的でとのこと。そんなことからお施主様自身が選ばれたものが「ウッドロングエコ」という無公害の木材保護保持剤です。取り寄せたカタログにも「保護・保持」の意味を示すトリートメントという文言が記されてあります。

ウッドロングエコ 粉末

お施主様の方で材料を注文し、送られてきたものをお借りして中身を出してみると薄緑色の粉末がビニール袋に入れてありました。ちなみにこちらは20gの粉末で、この粉末に対し4ℓの水で薄めて使用することになります。塗料というと普段の感覚としては液体のものをイメージするため新鮮な感覚です。

ウッドロングエコ 粉末

ビニール袋から粉末をバケツに取り出し確認すると、薄緑色の粉末以外に粒状のような小さな固形物が混ざってあります。ウッドロングエコを販売する「有限会社 小川耕太郎∞百合子社」のサイト情報によると原料成分には酸化鉄や樹皮やハーブなど天然鉱物質や植物抽出物を使用していると公開されてあります。

ウッドロングエコ 粉末を水で溶かした画像

上の粉末を指定の水量で溶いたものがこちら。粉末の色は薄緑色でしたが水に溶かすとこのような黄土色のような色に変化します。また、粉末以外の固形物類は完全に溶けることなく水面に浮いたような状態です。この溶かして作られた保護剤を刷毛などで直接木材仕上げ面に塗布していきます。

椎の木ハウス 化粧軒部分 ウッドロングエコ塗り

今回はお施主様ご本人が自身で塗りますとの要望により、塗布作業を見守ることになりました。ちなみに専門業以外の方が塗って安全上大丈夫なのかという点については、カタログの中に100%毒性無し(無害)であることと、水で溶いて塗るだけとの記載があることで、一般の方でもマニュアルに従えば簡単に扱え安全に塗れるものとなっています。実際、粉末からの水溶液づくりもお施主本人にしていただきました。

椎の木ハウス 外壁板張り 壁と軒の見上げ画像

椎の木ハウス 塗装後の様子

化粧野地板のある軒裏と壁部分の塗布状況。軒裏化粧野地面は塗布前の状況で白木色そのままであることに対し、先に塗布を施した壁面は空気中の酸素に反応しながら次第に黒ずんだ色へと変色していきます。

ウッドロングエコ塗布前の外壁の様子

ウッドロングエコ塗布翌日の外壁の様子

ウッドロングエコ塗布3日後の外壁の様子

上写真3枚は妻側の壁を無塗装から塗布後の色味の変化の様子を伝える画像です。1枚目が塗布前の無塗装の状況で木肌の色味そのままです。2枚目が塗布した後1日経過した後の様子。3枚目が塗布後3日目が経過した後の様子。時間が経つにつれて塗布面の色味は着色を施したかのように変色していきます。

ウッドロングエコ 塗布前

ウッドロングエコ塗布10日後の外壁の様子

上2枚、塗布前の白木の色味と塗布後8日経過した後の変色の比較写真。着色したかのような色に見えますが、着色ではなく変色です。茶色の塗料を施したかのようにだいぶん濃い色へと変化しました。

ウッドロングエコ塗布前の外壁の様子

こちらの画像は塗布前の素地面の状態。素地での仕上がりにも魅力はありますが、木材による外壁仕上げはサイデイングや板金とは違い、材が生ものであるため日焼け(紫外線)や雨風による風化や経年変化は付き物でそこをどう捉えるかは住まい手作り手共に判断の為所です。木肌を活かし、かつ表面の美観も維持されたい場合は今回のようなウッドロングエコもしくはクリア系の保護塗料を施すことをお勧めします。逆にある色を特定しその色味を楽しみたい場合は着色系の塗材となります。

ウッドロングエコ塗布10日後の外壁の様子

玄関周りの別塗材による仕上げ塗りを残し、ウッドロングエコの塗布工程はひとまず完了。同時に架けていた足場を撤去しました。外壁の色はおそらく今後も日を増すごとに変色が進むものと思われます。今後の時間経過による変化も楽しみです。来月の完成に向けて引き続き監理を進めていきます。