アイナデンタルクリニック増床プロジェクト
歯科診療と来院する顧客の口コミから信頼と豊富な診療実績を持つアイナ歯科クリニック。2014年医院開業後、治療と合わせ密かに温めてこられた子どもさんのための予防歯科サービスの実現のため、既存医院に付属する「こども歯科」の増床計画。計画進捗に合わせプロジェクトをお伝えします。
01 既存クリニック棟 (2019年9月13日更新)
ご依頼を頂いて既存クリニックと増床予定の敷地を確認しました。
既存クリニック棟
東外観
北外観
南外観
西外観
2016年に竣工されたクリニック棟はエッジを利かした箱型の建物ですっきりとした外観の造りです。白と黒に塗り分けされたモノトーンの外観が印象的です。
続いてクリニック内部の様子です。
玄関・エントランスホール 落ち着いた色合いのあるエントランス
待合いスペース こちらもエントランス同様に白と茶色を基調に落ち着いた内観です。
玄関・エントランスから待合いと白と茶色でコーディネートされ間接照明もあり落ち着いた内観です。
こちらはこどもスペース おもちゃやぬいぐるみがありお子さまに好まれそうなスペースですね。
◇ここから診療スペースエリア◇
診療及び治療スペースは全体的に白を基調としたコーディネートで清潔感のある内観です。
それぞれの治療スペースはゆるやかに仕切かれ北窓からひかりが射し込む空間となっています。
こちらは子ども用の治療スペース。 北側と逆の南側にあり窓が小さく設けられていました。
主な治療室が北側にあり窓が大きく設けられていたわけですが、院長先生いわく、プライバシー的なこともありスクリーンを下げて使用しているとのこと。
上3枚は既存棟の最奥にあるステッフ専用の通用口。
今回の増床はこの場を取り壊ししてここから増床させる計画です。
02 計画用地の確認 (2019年9月13日更新)
続いて計画用地の確認。用途地域は第2種住居地域で県道及び町道に3方を囲まれた用地となっています。
南側道路から見た用地
西側道路から見た用地
北側道路から見た用地
北側道路から見た用地
増床計画はこれからですが計画用地としても十分な広さがあり申し分ないところです。
既存クリニック及び敷地の特性を整理した上で計画を進めて参ります。
03 レイアウトプラン (2019年10月26日更新)
クリニックとのヒアリングを基に増床案の計画をスタート。
ステップ1:計画の骨格として第一に既存棟からのサービス動線をそのまま増床棟につなげる流れを基とし、その廻りに新たな要求室を並べていくようなイメージで進めます。と同時に増床部分の屋外に利用者や管理側の駐車場を配置することを想定します。
ステップ2:ステップを進め屋内の要求室と屋外駐車場のゾーニングを描いた下図。メインエントランスは既存棟から移設する計画のため増床部分の中央あたりにイメージ。かつ既存棟と増床棟は建物を合体させるイメージで描きました。(合体する部分については以後再検討の流れに)
ステップ3:ステップ2で描いたもので作成した計画平面図。増床によりエントランスも既存から移設する計画でエントランスは増床棟の南に配置。そこから待合室へ入り、増床棟と既存棟へとそれぞれに利用する計画案。この計画図でも既存棟と増床棟をひとつの建物とする計画...。しかしこの計画で増築工事を進める場合は既存棟の管理出入り口が塞がれてしまうことになり、工事期間中の営業に支障が出てしまうことに。そこで既存棟と増床棟の間を少し離した位置関係で再度計画。
ステップ4:ステップ3の計画から増床棟の位置を既存棟から距離を置き渡り廊下で利用する計画図。距離を取ることで既存棟で営業利用しながら増床棟を建設することが出来る案でこの案も合わせて提案するプランの一つとしました。
04 立体モデル計画 (2019年10月30日更新)
立体イメージ1:平面レイアウトから起こした立体モデルのイメージ。増床棟は平屋建ての計画とするため建物高さを既存棟の1階屋根天端面と合わせるイメージで計画。03平面レイアウトよりここからの増床部計画は既存棟と切り離した形で作成しました。
立体イメージ2(俯瞰図1):視点を持ち上げ俯瞰した位置からのイメージパース。
立体イメージ3(俯瞰図2):視点をさらに俯瞰させ2棟全体を見下ろしたイメージパース。
立体イメージ4:北側道路からの視点。立体ボリュームは既存と同程度。既存のフェンスを増床部まで延長させるイメージ。
模型
続いて模型での確認を行います。
南外観のイメージ(2棟連続の場合)
俯瞰からのイメージ(2棟連続の場合)
内観俯瞰イメージ(2棟連続の場合)
内観俯瞰イメージ(2棟連続の場合)
南外観イメージ(2棟切り離しの場合)
内観俯瞰イメージ(2棟切り離しの場合)
北側からの俯瞰イメージ(2棟切り離しの場合)
模型での確認を終えた後、パースモデルと模型をそれぞれクリニックへ提案し、連続棟でのプランと2棟切り離しプランそれぞれで建設する際のメリットデメリットを伝えました。打ち合わせにより計画は2棟切り離しプランで進めることに決定。その上で増床棟のレイアウトを再度クリニック側で検討を行うことになりました。
05 増床モデルレイアウト (2020年1月17日更新)
※昨年10月の更新からプロジェクトの更新が滞っておりましたが、計画はオーナー様の意向もあり緩やかに進めています。前回04のステップから計画が進みましたのでその内容をお伝え致します。
04のステップから計画は分棟計画に変わり、増床部分は既存医院棟と渡り廊下でつなぎ、別々に建つ計画となりました。前回のステップまではオーナー様の意向を聞き入れた形で増床部分の床面積は140㎡を超える計画でしたが、既存棟と合わせると300㎡を超えてしまうこともあり、消防法上多大な消防設備が必要となってしまうことから、全体の面積を300㎡を超えない面積でまとめる方向になりました。
増床部のレイアウトはメインとなる検診室をはじめ、検診室に隣接する準備室、機械室の他、通路をはさみ待合室、子ども用トイレ、カルテ保管庫というレイアウトに決まりました。こども専用の検診室には検診用機器ユニット3台の他、はみがきコーナーを設ける計画もあり、スペースにゆとりが少ないことから西側機械室の面積を切り詰めて検診室のスペースを広げる検討を重ねました。また待合室の計画ではこどもさんの検診を待つ親御さんのために腰掛けられるカウンタースペースを窓辺に描き提案しました。
こちらはオーナー様との打合せの意向から描いた待合室のイメージスケッチ。増床部は主にこどものみの検診がメインとなるため待合室もこどもが来て楽しめる空間にしたいとの意向。オーナー様からは壁面を活かしたボルタリングが出来るような場所が欲しいということと、蒔ストーブを設けたいとの意向があがりました。その他、中央スペースにこどもたちが戯れることの出来るサークルピット(プレイピット)のような場があると良いと考え提案しました。
上記の提案から更に各部突き合わせて検討を重ねました。検診室側は準備室の空間を切り詰めはするものの必要なスペースは確保させる必要もあり、棚の位置や医療用のシンクの位置を再考。切り詰めても通路幅は900mmは確保させる計画とします。検診室のはみがきコーナーは通路側角にコーナーとして設ける形を取り、ユニット周りのスペースを少しでも広く確保します。一方、待合室側の計画は安全上のことから蒔ストーブを置くことは見送り検診室側へ置くことに変更。代わりとして子どもたちが楽しめる滑り台を設ける計画が上がりました(図水色線部分)。
CG
上記を元にCG(コンピュータグラフィックス)でのモデリングを作成しました。
検診室内観俯瞰図
検診室及び検診準備室
検診室断面パース
待合室入り口
待合室内部イメージ
待合室内観俯瞰イメージ
南側からの外観イメージ(左が計画中の増床棟)
2D図とCGパースモデルにてオーナー様と協議の結果、レイアウトプランは確定しました。これからプランをもとに内外仕上げ材の選考、造作家具の検討、設備類の機器計画を進めていきます。
06 内部造作・照明計画 (2020年2月21日更新)
前回のステップから一ヶ月。打合せはいつも歯科医院の応接室にて週一回のペースで進めています。今回のステップでは内部で設えるクリニック用の棚や照明のレイアウトについて計画を進めました。
まずは棚の計画。既存棟でも消毒室や技工室に造作棚が設けられてあり、オーナー様より増床部においても同じように棚を作って欲しいとのリクエスト。既存棟の造作棚を基本にして壁面を利用する棚構成として計画を立てました。
増床部で設える棚は既存棟同様、クリニック用の器具を収納する小棚を中心に、コンピュータ(PC)を納めるサーバー収納棚、医療で発生する廃棄物を一時的にストックさせるダストボックス等。打合せで協議した内容を元に展開図と透視図を作成。棚の高さや仕切りの位置、引き出しの構成から扉(戸)の有り無しについて図を確かめ、このステップで造作棚については計画了承となりました。
照明計画
続いて照明計画について。計画に先立ち、照明については既存クリニックがすでに運用されていることから、既存クリニック同様の照明とする意向をオーナー様へ確認。新しく作られる検診室の他、通路やトイレ、保管庫等も同様とする計画。検診室では新たに天井付けの映像用モニターを設けたいとの要望がプラス。基本の照明に加え演出用の間接照明もあった方が良いとの意向を確認。一方、待合室についてはこの時点では具体的な要望は上がらず、プランを作り提案する流れとなりました。
打合せを元に作成した照明計画図。基本は天井面からのダウンライトとし各位置に器具をレイアウト。検診室についてはダウンライトの他、壁面上部からの間接照明を両サイドに配置します。宿題として持ち帰った待合室の計画については、一部段違いの天井を設けるプランとし、そこに照明を埋め込む間接照明を立案。その周囲をダウンライトで灯す計画を立てました。
計画図をもとに3Dモデルで作成した待合室の照明計画の断面透視図。照明は調光機能付きのLED電球色とし、天井面と彫り込み天井面内部に照明を埋め込み、直射と間接の両方で空間を照らす計画です。
こちらは検診室の照明計画の透視図。こちらでは天井面の照明と両側壁面からの間接照明で室内を灯す計画。天井中央面には子どもたちへ映像を映し出すモニターが設置される予定です。
今まで照明計画については器具のプロット図を2次元の紙に写しそれを元に説明する伝え方でしたが、3次元CADとそれに付属するレンダリングツールで照明が点灯した時のイメージまでを伝えられるようになりました。今回の提案にはオーナー様も充分のご納得を成されました。ここまでが今回のステップ。今月までに基本計画をまとめ次のステップへと移行して行きます。
07 工事着手 (2020年10月9日更新)
前回2月のステップから7ヶ月経過しました。その間こちらの方での掲載は控えていましたが、ステップとして実施設計、見積もり作成、工事金額の調整、建築確認許可申請、と設計工程を経てようやく工事着手を迎えました。ここからは工事状況のステップをお伝えして行きます。
今回の増築は既存クリニック棟と建物をつなげる計画。工事に先立ち既存クリニック棟の隣り敷地を盛土転圧にて整地。地盤高さを既存棟と合わせて建設されます。写真奥に見えるのが既存クリニック棟です。
方位を変えて南北側の北面から見た建設用地。向手には賃貸住宅の建物が立ち並ぶ静かな環境です。
遣り方工事に伴う増築棟の配置確認作業。水貫にテープをあわせ既存棟からの離れの他、建物間の芯々寸法や地盤面からの計画床高さなどを採寸にて確認しました。
遣り方の位置確認作業が終わるとすぐに次の工程へ。基礎下の床掘りと砂利敷きを行い土壌からの湿気対策用の防湿ビニールシートを敷き、次の工程を待ちます。
08 鉄筋工事 (2020年10月14日更新)
土工事を終えて基礎工事。この敷地では地盤の耐力に問題がないため今回はベタ基礎で基礎を計画。まずは鉄筋組み。構造図をもとにベース部分と、立ち上がり部分の鉄筋を施して行きます。
ベース部分と立ち上がり部分を組み終えた状況。まだ空間的なものはありませんが、中央に既存クリニック棟との連絡通路となる廊下を設けます。
床スラブ(ベース)部分の配筋完了に伴い、監理者による配筋検査。鉄筋の経、間隔、かぶり厚さ、重ね長さなど仕様通りに配筋されているかを目視とスケールで計測確認します。
床スラブの鉄筋間隔の確認。構造図を基にタテ・ヨコの配列間隔を確認。
配筋を確認の後、設備工事の配管類の確認を行いこの工程の監理は完了です。
09 基礎コンクリート工事 (2020年10月21日更新)
鉄筋組みの工程が終わりこのステップではコンクリートの打設工程。コンクリート打設はベースとなる基礎スラブ(床)部分と立ち上がり部分とを2回に分けて打設して行きます。
前日までの雨も上がり朝一番から打設開始。監理者としては品質を確認したりしますが他はただ工程を見届けるのみ。この工程は毎回職人さんの段取りで打設が進行されます。
打設は必ず複数人で行われます。生コンはクレーンで受けますが、打ち込みから流し込みは人力作業。職人さんも息を合わせての作業です。
基礎スラブ部分の打設が終わり立ち上がり基礎の型枠の工程。軸組を支える通りの位置や立ち上がり高さなどを確認し、立ち上がり部分の基礎を設けて行きます。
監理者による立ち上がり部分の基礎幅の計測。構造図を基に照らし合わせながら確認を行います。
型枠検査の後、立ち上がりの打設を行い基礎工程の完了です。次のステップより木工事へ進みます。
10 木工事 (2020年11月11日更新)
基礎工事が終わりここからは建物本体部分の建て方工事。プレカット工場で事前に刻まれた柱梁部材を所定の位置に配置し骨組みを一気に組み立てます。
柱桁が組まれた軸組から観た既存クリニック棟(写真正面の建物)。現在はまだつながっていませんがこの位置で既存棟と増築部分がつながる計画です。
屋根部分では棟梁及び応援職人の方々で小屋組み部材の設置及び金物留めが進行。屋根形状はフラットですがこの段階で安易に内部に入るのは危険なので足場から施工状況を記録しました。
ここから屋根下地材施工のステップ。屋根外周部に壁を立ち上げるための骨組みを施し屋根本体は1/50の緩い水勾配に沿って下地合板を小屋組みに張り込んで行きます。
建て方から屋根下地までのステップが終わり既存のクリニック棟と棟の高さが並びました。次は屋根仕上げ材へのステップに向かいます。
11 屋根工事 (2020年11月17日更新)
軸組の建込み工事が終わりここから屋根仕上げ工事。施工を迎えた当日、天候も申し分なく良好です。
屋根仕上げ材は塩ビ樹脂系の防水シート。当室でのフラットルーフは今回始めての計画ですが、現在様々なシート材が開発されています。今回その中から耐候性耐久性に優れた高分子系の防水シートを採用。シート1枚が多重構造で作られていることで強い紫外線をカットしながら高い水密性を持つシート材です。
シートの施工には専用の接着剤(アクリルエマルジョン系)を用います。塗布作業用のオイルジョッキに分けられた接着剤をヘラを使いながら屋根下地面及びシート仕上げの裏面全面に塗布します。
屋根水下には内樋を施しそこにも同様にシート張り。張り付けした後専用のローラーで押さえます。
水下からシートを張り、シート同士の重ね部も内樋同様にローラーで押さえ込みながら張り進めます。
両水下から水上に向けシートを張り、水上部分の重ねを押さえてシート防水屋根完了。
12 外壁工事 (2020年12月08日更新)
屋根工事から外壁下地工事と工程が進み、ここから外壁工事のステップです。その様子を伝えます。
外壁は防火サイディング材による乾式仕上げ。当初の計画では壁面の隅角部分をR形状で描き湿式工法で進める予定としていましたが、建築主より外部に掛かる工事予算を抑えたいとの意向から、当初のR形状は見送り乾式工法でのサイディング壁に塗装を行う仕上げに変更されました。
外壁専門の職人さんによる張り付け作業。今回は3×10版の縦張り仕様。材料自体の重量もあり張り合わせ作業は二人掛かり。一枚一枚を慎重かつ丁寧に張り進めて行きます。
張り合わせ後は表面からビスを打ち込み下地へ固定。一枚一枚を下地に向けて張り進めて行きます。
サイディング張りを進めた後、既存クリニックに合わせた仕上げ塗装を施して外壁工事が完了。ようやく新旧の外観が揃いました。これから内部工事に移行して行きます。
13 内部造作工事 (2020年12月25日更新)
造作工事は主に棟梁や大工さんが担当する工事です。造作は主に完成前までの間下地材の施工から棚や枠の取り付けなど工事の中でも重要な役割を担います。まず各部屋の天井ボード材の施工からスタート。
こちらは新しい待合室。天井高さが2700ミリの高さのため内部足場を設置して下地材を施して行きます。
天井が終わると壁下地材の施工。今回室内の仕上げは天井壁と共にクロス張りの予定のため同じ下地材(石膏ボード)ですが、水回りの部分(写真水色壁の部分)には防水性能の高い下地材を施します。
再び待合室の天井。こちらの天井では一部を楕円形の彫り込み天井とする計画です。楕円を天井面へ成形するためRを片側に削り出した下地木材を作り、円弧の大きさに合わせ配列設置していきます。
彫り込み高さ30センチ、横幅3.2m、縦幅2.5mの楕円の彫り込み天井が作られました。中央部の穴は天窓から採光を取り入れるための開口。彫り込みの立ち上がりは照明を施し間接照明として活かします。
この楕円形の彫り込み天井は当初曲面対応の下地材で楕円成形を計画していましたが、棟梁のアイデアで通常使用している下地材(石膏ボード)を曲げて成形してもらいました。曲面の形状も申し分ないです。
こちらは同じ待合室に予定している床部分のサークルピット。こちらも形状は天井と同じく楕円形。小さなスペースですが、クリニックに来る子どもたちの楽しめるスペースとなるように計画しています。
サークルピットの床仕上げ材は杉のフローリング床。木の素材表面が現れると途端に温かみを感じます。
待合室の外壁面に特注で制作した大型の窓。この窓は窓周囲の壁を外へ少し膨らませ窓辺の空間として腰掛けることの出来るスペースとしても計画しています。出来上がりが楽しみな部分でもあります。
既存通路間開通工事
内部造作が大方整ったところでいよいよ既存クリニックと繋がる通路部分の解体開通工事に着手。解体は棟梁大工二人構成で増築部分からは外壁サイデイングの解体、既存クリニック側からは内部ボードを解体する方向で進めます。写真は増築側から既存クリニックの外壁を解体する棟梁。
既存クリニック側の解体状況。下地材の他、解体部分内に設置されていた棚やシンクも撤去されます。
増築側はサイデイング撤去から内部の下地の解体へ着手。写真ではわかりづらいですが既存側は解体範囲と解体しない部分があるため、解体作業はその見極を図りながら慎重な作業となりました。
埃対策のためブルーシートで覆われてますが、ようやく解体が終わり既存棟とつながりました。これからこの連絡通路に下地材を施し仕上げ工程へ向かいます。棟梁大工の仕事に感謝。お疲れ様でした。
14 仕上げ工事 (2021年1月14日更新)
前回ステップから内部下地ボードまで張り終え、ここから室内仕上げ工程のステップ入り。このステップでは内装仕上げ工程の様子を追いかけてお伝えします。上写真は新旧のクリニックを貫く中央の通路。
今回の仕上げは床材は複層ビニル床タイル。壁天井は石膏ボード下地にビニールクロス壁紙仕上げ。下地工程ではそれぞれのボードジョイント部分に専用の下地処理材を施し均一に整えて行きます。
こちらは待合室。下写真の壁正面の造作で制作したボルダリング用のクライミングウォール。この場所はこども用の造作をいくつか計画しているため、どんな出来上がりになるか楽しみです。
検診室に隣接する検診準備室。両側の壁間の幅はわずか1800ミリ。必要最小限の場所になります。
通路、保管庫と小さな所要室まで下地処理を終えて下地工程は完了。いよいよ仕上げ工程を迎えます。
仕上げ工事
ここから仕上げ工程。まずは床から。床材の仕上げは既存クリニックとレベルを合わせ一体で使用することから既存クリニックでも使われている厚さ3ミリの複層ビニル床タイルの仕上げです。
一枚の大きさは長さ900ミリ。下地合板に専用の接着剤を施し一枚一枚千鳥張りで張り込んで行きます。
上画像は今回の仕上げ色選定プランの概要図。今回はクリニック院長先生のご希望により院長先生の奥様によって部屋ごとに細かく色と柄を選んで頂きました。使ったことのない色、柄、非常に楽しみです♪
待合室の仕上げは青と白の組み合わせ。クライミングウォールに対面する壁にはアクセントに波とヨットの模様の壁紙。青と白のコントラストが爽やかで海や水を連想するような清々しさを感じます。
こちらは検診室。正直なところ設計者として最初に使われる色を聞いた時は想像も追いつかない状態でしたが、張り終えた壁紙はとても鮮やかでいい意味で楽しい雰囲気。経験にない色使いは新鮮な感覚です。自分ではここまで思い切った色選びの経験がないので貴重な機会と感じています。
こども用トイレ内の仕上げ。原色と水玉模様の可愛いらしい組み合わせ。全体は完成時にお伝えします。
最後に通路部分の仕上げ工程。緑色のスペースは既存と増築を結ぶ渡り路の仕上げ。まだ仕上り前の状況ですがカラフルな視覚効果のおかげで完成が楽しみです。次回は家具と設備工事をお伝えします。
15 家具・設備工事 (2021年1月21日更新)
前回ステップの仕上げ工程も一部を残し工事はいよいよ終盤入り。このステップは造作家具工事と合わせ内部設備機器の設置状況を追い掛けながらお伝えします。写真は検診室に配置された造作の準備台。
配置された準備台の天板はメラミン化粧合板を圧着したポストフォームで長さは4.8m。カウンター下部は検診用の収納を始めPCスペースや冷蔵庫の収納の他、シンクやダストボックス等を設置します。
準備台下部の引き出し。こちらも天板同様に面材はメラミン化粧合板。引き出し幅は450ミリと600ミリの2種類を制作。検診室及び検診準備室の準備台用に配置されます。
こちらは組み立て前の通用口に設置予定の下足収納。収納棚は棚柱金物を付け可動出来る仕様とします。
検診準備室の設置状況。短辺側の部屋幅は壁芯寸法で1800ミリ。中央部分は作業と通行スペースで有効900ミリを確保し両壁面を活かして最小限で最大限の収納場を設置して行きます。
待合室に置かれるサークルピット用の腰掛けベンチ。床に設けたピット形状に合わせ特注での制作です。ベンチ下はピット内部からおもちゃや絵本を収納出来る造り。どんな使われ方になるか楽しみです。
設備取り付け工事
続いて設備機器の設置工事。今回設置される機器は水栓や衛生器具の他、照明器具や消防設備等です。
検診室に設置された歯磨き台と専用の水栓の取付状況。水栓は検診を受けた子供さん用の水栓。壁コーナースペースを活かし対角で2器設置されます。歯磨き台は合板で下地を造りモルタルで仕上げました。
同じく検診室内で使われる水栓の設置。こちらはレバー式の単水栓。ハンドルは操作しやすいものが良いとのご希望からカタログで選定を行い、レバー式のハンドルから形状が大きなものを選びました。
こちらは検診準備室で使われる混合水栓。シンク下には冬場利用時用に小型電気温水器を用意しました。
増築で新たに設けられたこども専用のトイレ。こどもトイレには専用の便器と手洗器を設置します。手洗い器は子供さん向けにムーブル社のマルチシンクを提案。カタログにはない絵柄を採用して頂きました。
仕上げ工程も終えて照明器具や誘導灯も設置完了。次回いよいよ工事完了のステップを迎えます。
16 工事完了 (2021年1月29日更新)
前回までの内部工事の全てが完了し工事ダイアリーも今回最終回となりました。最終回は工事完成に伴い検査機関による完了検査の模様をお伝えします。
まず建築完了の検査から。検査を行うのは株式会社住宅性能評価センター。住宅性能評価センターによる検査は今回2度目。現場には検査員の方が小型のタブレット端末を持って検査に来ました。
タブレットを手に各室の完了状況を確認する検査員。検査中付き添うのみで会話はほとんどありません。
終始タブレットで完了状況を確認する検査員。一通り外部内部を確認し終え、特に指摘事項や問題もなく最後に工事監理者のサインをして検査完了となりました。
消防検査
続いて消防本部による完了検査。検査は工事で設置された消防用設備機器の設置状況及び作動確認。
既存クリニック側の分電盤を開き、増築側に設置された警報設備等の設置状況及び作動関係の確認。
既存クリニック及び増築側の設備設置状況を一通り確認し、最後に書類上で再確認し検査終了。
工事完了
これで工事の全てが終わりました。完成した建物は外部は既存クリニック棟に合わせ落ち着いたモノトーンに仕上げられましたが、内部については当初の完成イメージを覆し、カラフルな色彩の効果で明るくポップな空間となりました。工事に携わった関係者の皆様方、本工事中のご協力ありがとうございました。(完成写真についてはあらためて掲載致します)