不定期に購読している季刊誌「住む。」。その最新号の特集が気になったので久しぶりに手に取り読んでみました。今号の何が気になったのかと言うとズバリ表紙の「小さな家」というフレーズ。中身についての詳細は読者の方にご覧頂くこととしまして、ここでは「小さな家」にフォーカスして「小さな家」で得られる住まいのメリットや暮らしの豊かさについてお伝えしたいと思います。
小さな家とは
小さな家と言ったらどれくらいの大きさの家でしょうか?10坪?20坪...?小さな家について特に正解があるわけではありませんが、小さい家と括るならば概ね30坪に満たない規模の広さの家となるでしょう。面積で表現するならば床面積100㎡辺りまでです。階層については平屋であれ2階建てであれ100㎡以内であれば小さな家の範囲だと考えます。
小さな家と聞くと先入観として「狭い」や「窮屈」といったイメージが湧く印象もあるかも知れません。また同じ面積でも家族の人数が多ければ必然的に部屋の数ほどそのような印象に近づきますので、ここでは大家族や二世帯住まいの家は横に置き「小さな家」で得られることについてお伝えしたいと思います。
小さな家のメリット
どんな家にも大なり小なりメリットやその反対のデメリットになるようなことがありますが、小さな家には無理をしなくても最初から暮らしが明るく楽に過ごせるようなメリットがたくさんあります。ではいくつかメリットを挙げてみましょう。
- 建設コストを抑えられる
家を建設する際には他のものと比べ大きな費用となりますが、その費用は床面積に応じて建設費用も大きなものとなって来ます。予算にゆとりがある場合は別ですがそれはごく稀なケースです。その中で坪数を抑えることは最も建設コストに反映し予算を抑える大きな要素となります。また予算に応じては坪数を抑えることで、こだわった材料や仕上げを用いることなども可能になったりします。
- 小さな家は家族の距離感・気配が伝わりやすい
当然と言えば当然ですが、家が小さくなれば床面積も限られた広さとなるため、家族同士の距離感や気配が伝わりやすくなります。距離感や気配が伝わりやすいということは、家に居て別の場所や空間に居ても必然的に安心感が生まれます。もちろん、家族に気配を悟られたくないと言われたらメリットではなくなりますが...。互いの存在を身近に感じることが出来るのは安心感に結ぶ大きなメリットです。
- お掃除が楽ちん
3つ目のメリットとしてはお掃除の話しです。住み始めると暮らしの中で毎日のように向き合わなければならないことの一つとしてお掃除が出てきます。お掃除が根っから好きな方は別として、大半のご家庭では働きながら暮らしていることが多く、お掃除も限られた時間の中でしか出来ないことが多くあると思います。家が広く大きくなればなるほど、お掃除に掛かる時間も莫大なものとなり、働き家族が生活を行いながらとなると、必然的にお掃除の手間や負担も少なく楽に運びたいものです。こちらも家が小さくなれば床面積も限られた広さとなるため、お掃除の負担も減り時間の節約にも結びます。
- 少ない冷暖房設備で過ごせる
こちらも上記同様に家が小さくなれば家の中の広さはコンパクトになるため暖冷房効果にも有効なものとなります。ただしここで誤解を恐れずお伝えするならばその効果を得るには断熱気密がしっかり施された住宅が条件となります。小さな家とは言え性能については疎かに出来ずしっかり造る必要があります。合わせて窓の位置や大きさの他、換気設備も一緒に考えることが大切です。これらにより、必要最小限のエネルギーでコストを抑えながら最大限の暮らしを実現することが出来ます。
- メンテナンス費用を抑えられる
5つ目は住まいや暮らしを続けていく中での定期的に発生する維持管理のこと。その中の代表的なものとしては設備機器類の定期的な交換や外部周りの維持管理のお話しです。家が大きくなれば当然として外部周りの面積も増え、その維持管理の費用も負担が伴います。設備機器も同様に大きな家になれば性能や台数など何かと設備費用も嵩みます。一方小さな家であれば性能や容量もコンパクトな機種を選ぶことが出来、少ない台数で交換の際も費用を抑えられます。また、外周部の維持管理も同様に大きな費用を掛けず定期的に維持や更新が可能になります。
思いつくいくつかのメリットをお伝えしました。いかがでしょうか?メリットのほどんどが「小さいからこそ」ではありますが、作り方住み方で単に狭い窮屈とは違うスマートな暮らしが見えてきませんか?
小さな家のデメリット
では「小さな家」で暮らしや生活を送る上で不便や不満になるようなデメリットはあるのでしようか?デメリットと捉えるかはそこに住む人の考え方や受け取め方により大きく変化しますが、あえてデメリットと思われることをいくつか挙げてみましょう。
- 収納には工夫がいる
小さな家の場合必然的に居住スペースが優先となるため、収納スペースの設け方には工夫が求められます。もっとも家を小さくするということは持ち物についてもひとつひとつ家に必要なものなのかを見直し整理して行く必要があります。壁面の厚みを利用して棚化させたり上下空間を有効に利用したりと最小限のスペースで最大限の活用を見出して行くことが大切と考えます。
- 音や匂い(臭い)が伝わりやすい
小さな家ではどちらかと個室は最小限となり家の中は空間をつなげて作ることが多くなるため必然的に音や匂い(臭い)が伝わりやすくなります。これがよしなのかそうでないかはそのご家庭ごとに良し悪しが分かれるかと思います。ただお子様の成長期の中で一時期、音について配慮することは出てきたりします。その場合は可動もしくは取り外し可能な間仕切りなどを作っておけば不要になった際に取り外すことも出来ます。音については二世帯住宅でない限り同じ家族間であれば経験値からそれが原因で暮らしの中で問題になったということは今までありません。
- プライベート空間が得られにくい
こちらは唯一小さな家だからそうなることになりますが、メリットでお伝えした家族の気配が伝わりやすい、ということと相反することに当たります。またもう一つ加えれば昨今コロナ禍の流れにおいて家庭でもご家族のどなたかが感染なりそのような状況となった場合、もしくはお仕事で在宅ワークが求められた場合は他と完全に仕切れる個室のような空間の必要が出てくることもあります。このような場合はトイレや手洗いを備えた個室化できる部屋を設けておくなど必要に応じて備えておくと良いでしょう。
住まいは将来を見据えて
手短かに「小さな家」についてメリット・デメリットをお伝えしました。家をつくる際はその理想から何かと希望が膨らみます。それは家の形であり、広さ、また空間のデザインの質であったりもします。一方暮らし始めて行くと家族構成やライフスタイルは時間の経過と共に少しづつ変化して行きます。子供さんが成長し家を離れることになったり、などなど。いずれ何かあって家を手放す時が来た時のことまである程度見据えておけば、安心して過ごすことが出来ます。物も衣類もちょうど良いサイズというのが長く愛着を持って使えるように住まいや家も身の丈に合うちょうどよい大きさがあるような気がします。今号の「住む。」を読みそんな感想を持ちました。どうぞ家づくりの参考にしてみてはいかがでしょうか?