宮崎県児湯郡の建築設計事務所「とやま建築デザイン室」

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菖蒲池の家

菖蒲池の家(しょうぶいけのいえ)2019.06.20

この住まいに住む Iさんご夫妻は共にご高齢の住まい手さま。
お住まいは昭和15年に建築された母屋部分(伝統工法の造り)と昭和47年に増築された部分がつながる住まい。とやま建築デザイン室で平成24年に耐震診断を行いその時の評価は基準値以下の結果となり耐震補強の必要が求められましたが、ご予算の都合で一旦補強工事は見送りになりました。

その後平成30年愛知建築地震災害軽減システムによる低コストの耐震補強が誕生したことにより再び当室で補強計画を開始。
ただし、Iさんご夫妻が高齢化していることもあり住まい全体に補強を施す意味や必要性はないとの協議により部分補強の計画へ移行し、Iさんの希望で夜寝ている間に地震が来てしまっても安全なようにと寝室のある棟の部分の住まいを補強する計画へと進みました。

また、お住まいへの再訪問時の冬、外気で部屋が冷え切っていたあまり、Iさんに寒さについてお尋ねすると「確かに冬寒いです」とのお返事。寝室のある増築部分は古いつくりから床、壁、天井と全く断熱が施されていなかったため、断熱の必要性をお伝えして耐震補強と合わせて断熱補強の工事を行う流れとなりました。

工事期間は約1ケ月。補強を行いながら Iさんご夫妻の住まいを改修します。

  03 解体から耐震補強まで(2019.7.04更新)

今回の補強計画はふたつの居室(寝室・洋間)を中心とした壁部分の補強です。基に筋交いが入っている部分は金物を付けて補強を行い、壁の中に何も補強材が施されてない壁については新たに筋交い材や構造用合板で耐力を上げていく計画です。

補強を可視化したものが上の図です。各部位に応じて筋交い材また構造用合板による補強を行います。

 

工事着手


二部屋に置かれていた不要となった荷物の運び出しが終わった状況。ここから早速工事着手。まずは補強する壁の解体からスタートです。



行きよいよく寝室の西壁から解体し始めると壁の下の部分に「ん?」と気になる部分がいきなり目に入ってきました...。よく見るとそれは筋交い。


写真中央の斜めの部材が筋交いです。通常、筋交いは柱の根本に添えるように施工されるはずですが、ここではなぜか柱に突き刺す(突き抜けてる)ように設置されてあり、筋交いとしての機能を果たしていないことが判明されました。「ん~、これでは補強として使えない。。」と認めざる終えながら、住まい手の I さんにその旨を報告。既存の筋交いは外壁の下地としては機能しているため、このまま残した上で部屋内側に新たな筋交いを設けることの了解を頂きました。


早速新たに筋交いを追加して補強された壁。なんとか柱の厚み内に納まったけれど、補強金物の納まり上この部分の壁仕上げは真壁(柱が見える壁仕上げ)から大壁(柱を見せない壁仕上げ)へと変更となりました。


こちらはその横の補強壁。既存では窓だった部分を住まい手の I さんの要望で窓から壁(補強)に変更されました。

 

続いて天井面の補強。天井面は調査時に天井裏に上り部材構成を先に確認した上で、壁の四隅の上に入る火打ち材という斜めに使う補強用の水平部材が施されていない箇所を補強する計画となりました。上図の赤い丸部分に新たに火打ち材を施す計画です。

今回は寝室、洋間両部屋の堺となる壁部分も新たに補強するため、その壁上部に補強梁が必要となり両部屋の天井を解体撤去。先にお伝えした通り部屋四隅上の部分に火打ち部材を入れて補強します。


こちらが補強に使用する火打ち材(鋼製火打ち材)一方からのビス止め可能な仕様で両端部分を既存の梁面へビス止め設置します。

既存桁面にビスを打ち込み設置完了です。

 


続いては寝室と洋間の間に新たに設ける補強壁のための梁材の設置です。通常はほぞを施しそこに打ち込むように設けられますが、上部の小屋は触らずにそのままで工事を行うため後付け用の金物を用いて設置します。

こちらが梁受け用の補強金物です。室内側よりビス固定出来るものを選択して取り付けて行きます。


梁受け金物を設置している様子。既存の桁に指定のビスを打ち込み設置します。


梁受け補強金物の設置が完了しました。合わせて火打ち補強材(手前)の設置も完了です。

 

続いては室内側の壁に施す構造用合板による耐力壁の設置です。計画では内部の壁も筋交いによる補強を予定していましたが、既存壁の下地材が容易に触れないことにより構造用合板を用いて補強を行うことになりました。まずは既存壁に構造用合板を受けるための受け枠材を設けていきます。

こちらは構造用合板を受けるための枠に使われる釘。半間(90センチ幅)の壁と1間(180センチ)の壁で長さが変わるためこのように色分けされてあります。今回は半間、1間の壁を設けるため両方の釘を使います。上の緑色の釘が半間用のN75の釘。下の紫色の釘が1間用のN90の釘です。N90の方が長い仕様です。

こちらは構造用合板専用の釘(N50)。長さは5センチ。それぞれに色分けされてあるので現場での選択ミスがないように配慮されてあります。

構造用合板壁の設置は釘間隔についても決まりがあり先に設けた受け材に向けてN50釘を10センチ間隔で打ち込んで設置します。


断熱材の施工と説明の順番が前後しますが構造用合板による補強壁を設けてる様子です。今回は土台下から上部の梁下まで合板による補強壁を設けます。上梁下端まで張り込めば構造用合板壁の設置完了です。

  wallstatにて補強計画の地震動を確認

今回、補強計画に合わせてwallstatによる補強計画の解析も行いました。wallsatとは京都大学生物圏研究所の准教授 中川貴文氏により開発された木造住宅用の倒壊解析ソフト(無料)です。このソフトに計画する建物や現況の建物の仕様を入力することで、地震が発生した際の建物の揺れ具合や倒壊の様子を視覚的に確認することが出来るものです。今回の計画を地震動「極稀地震」1倍、地盤条件「第1種地盤」方向「X方向」で解析を行ってみました。

解析による揺れの状況は母屋の方の一部の部材が崩落した様子で補強を進めている部分は揺れに耐えている様子です。実際地震が起きた場合同じように揺れるかどうかわかりませんが、このよう先に可視化することでどれくらいの揺れに耐えるのか耐えられるのかを見れることは対策のひとつとして非常に有効なツールと思います。Iさんにも解析動画を見て頂いてご理解を頂きました。

以上、ここまでは解体から補強に至る補強計画と工事内容です。引き続き工事を進めてまります。

  02 改修部分は既存増築棟 (2019.6.25更新)

今回の改修場所は母屋と納屋に挟まれた位置にある既存増築棟の範囲。こちらは昭和47年3月に増築され Iさんのお母様が住む場所としてお使いされていました。現在、お母様が高齢で病気療養中のため空き部屋となったため Iさんが寝室として使われています。補強については当初母屋を含めての希望を持たれていましたが、ご予算の都合で全体補強は断念。Iさんごご夫妻の希望より寝ている時間に来る地震から少しでも身を守りたいとのことで、今回この部分を改修することになりました。

増築部分の構成は南向きの明るい方角に4帖半の寝室と洋間が並び、廊下を挟み北側に洗面室、浴室、トイレ、洗濯室などの水回りの部屋が置かれています。今回補強を行うのは廊下を含むこの6室。耐震については壁と天井部分の補強、断熱については床、壁、天井のそれぞれに断熱を施し、断熱窓の設置も行います。ただし、洗濯室は日常ずっといる部屋ではないため断熱補強範囲からは除外で計画を立てました。

改修の現場はどこでも一緒ということはありません。現場の造りに応じた改修を常に求められます。

  01補強工事前の準備(置き家具類の整理処分)

ここから補強計画と補強工事のことを織り交ぜながら綴ってまります。まずは現場風景から。補強工事の着手と同時に補強部屋にある既存の置き家具を運び出す作業から始めました。事前にIさんに使うものと使わないものを整理して頂いて、使うものだけを残し他のものは全て工事前に処分することになりました。

こちらの家具は再利用する家具。別の部屋に移動します。

こちらは廃棄処分するもの。まだ使えそうな気もしますが、ここは潔く処分となりました。

既存の寝室で使っていた畳。まだ使えそうな気もしますが、こちらも潔く処分となりました。

今回補強工事を行う部屋(洋間4.5帖)板張りの床ですがもともとは和室だった部屋。

今回補強工事を行う部屋(寝室4.5帖)こちらは畳を撤去した後の状態。同じく和室として利用。
中の物が無くなると再び部屋としてのいろいろな活用が感じられそうな気がします。
これから補強工事を進めていきます。