宮崎県児湯郡の建築設計事務所「とやま建築デザイン室」

宮崎県児湯郡にて住宅設計に関わるご提案を行っています。

床下利用の計画

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基礎計画のCAD伏せ図

3月より着手を始め進めている専用住宅の計画。オーナー様から部屋間の温度差を楽にしたいとのご要望から床下空間を利用した温熱計画を進めています。通常床下は基礎の土間と床板との間の空間部分で特別な目的がなければ使われる空間ではありません。今回この空間を利用して床下エアコンを用いた暖房計画とシックハウス対策としての24時間換気計画を行います。

基礎空間俯瞰パース

全体の形状およびモジュールは910グリッドでの構成。基礎空間を暖房として利用するために今回は基礎内側に断熱を施す基礎断熱工法での計画です。外周面の基礎内部側に断熱となる保温版を施し床下空間を内部空間として取り込みます。また、暖房空間として利用するために内部基礎立ち上がりも極力少なくする計画ですが、現在構造計画中のため基礎の位置や長さについては変わる可能性はあります。

床下換気扇設置計画パース

床下換気扇屋外給気配置口イメージパース

まずは床下換気扇の設置計画から。今回計画するものは第一種換気による機械換気計画です。今回この換気扇を選定した目的は夏冬に発生する熱ロスを減らすこととメンテナンスを楽にすること。この2つの条件を満たす換気扇(マーベックス 澄家)を選びました。また給気も排気もダクトを用いる換気扇ですが、選んだ換気扇は給気は屋外にフィルターカバーを設け室内には短いダクトのみとている点も選定判断のひとつです。屋外から取り込まれる新鮮な空気はフィルターと換気扇本体の熱素子を介し温度変換されたのち各床面に設けられる通気口から室内へ取り込まれます。パースでは集気チャンバーから先がまだ描かれてはいませんが、これから描かれる各室床面設置の排気口へと接続される計画となります。
マーベックス 澄家 sumika

床下エアコン設置俯瞰パース

続いて床下用のエアコン計画です。今回の計画は壁掛用のエアコンを床下利用として家全体の室温度差を小さくする試みです。エアコンを床下利用する計画は既に国内にたくさんの事例がありますのでここでの詳しい解説は割愛しますが、エアコンは暖房専用として暖気を床下へと送り込み床面に設ける通気口から暖気を室内へ取り込む計画です。機種についてはQ値とC値(仮値)の他、E値(室内発生熱量)を用いた暖房能力算定を行い今回は14畳タイプのエアコンを選定。また床下エアコンを用いる場合は基礎空間が外気と遮断され気密化されていること、基礎内部において暖気が行き渡りやすいように作られてあることの他、床下エアコンの保証はメーカー保証されないなど施工条件や設置への理解も必要になります。基礎外周面は気密部材により外気と遮断し内部基礎は構造計算を用いて立ち上がりを少なくする計画です。

床下エアコン設置イメージパース

床下エアコン設置高さ寸法検討図

床下エアコン設置俯瞰パース

床下エアコン設置高さの検討。エアコン設置場所は外壁面から離れた内部面の設置のため必然的にダクトは床下通しでの計画。床下利用の場合は保証対象外のため設置高さに決まりはありませんが暖気を効率よく床下空間へと流入させることと後々のメンテナンスや交換のし易さを踏まえエアコン本体の底面を床仕上げ高さより100ミリ下げの位置で設定。ダクト配管は側面からの配管ではドレン管の水勾配分まで床組み内で確保出来ないためエアコン底面から配管を一旦下部に下げ90°曲げ横引きにて外部へと配管させる計画です。※上図基礎立ち上がりからの床仕上げ高さが215ミリの計画。

床下エアコン床下換気扇設置完了パース

床下換気扇と床下エアコンによる床下利用計画。床下エアコンを始め床下換気扇との同時計画は初めての試みですが、気流を利用する上ではどちらも空間を利用するには理に適うものと捉えています。またエアコンからの気流と換気扇からの気流、ふたつの利点を活用することで相乗効果が得られることにも期待を寄せています。床下利用計画は一旦ここで区切り。これから上部構面の計画を進めていきます。