宮崎県児湯郡の建築設計事務所「とやま建築デザイン室」

宮崎県児湯郡にて住宅設計に関わるご提案を行っています。

瓦葺せ替え工事 後編

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前編でお伝えした築40年の家に住む住まい手様の瓦葺せ替え工事が終わりました。今回は工事の後編をお伝えします。冒頭の写真は既存の屋根瓦を取り除き瓦を支える瓦桟を回収している様子です。瓦桟を回収すると元の屋根は40年前に敷かれた防水層(ルーフィング)が現れました(写真の屋根面を覆ってるものです)。今回防水層の状態は劣化も少なく良好な状態であったのでこの層を活かしこの上に新たに防水層を被せて屋根瓦を葺いていくことになりました。


今回使用する防水層は新築工事でも使用している改質型のアスファルトルーフィング。(七王工業社製)商品名の「モラサン」は住宅瑕疵担保履行法に適合している製品で実績とともに施工性や経済性まで備えた良質な屋根専用の下地葺き材です。この下地葺き材を既存の屋根下地葺き材の上に重ねて行きます。


早速瓦職人さんが葺き始めました。一般の方もご存知と思いますが、屋根下地葺きの施工では防水上必ず屋根の低い側から葺くようになっています。また下地葺き材の重ね幅にも決まりがあり上下方向は10センチ、左右方向は20センチを確保させます。



短い部分は一人の職人さんでも葺けますが、広い面積の部分は葺き材の浮き上がりを防ぐためこのように二人一組となって葺いて行きます。屋根面への留め付けは専用のタッカーを用い所定の間隔で留め付けて行きます。


重ね代部分の記録のため撮影したものです。前述のように上下方向は10センチの重ね代を確保させ葺いて行きます。製品本体に重ね合わせ用のラインがあるため間違いなく施して行くことが出来ます。


端部までしっかりと留め付けながら葺き重ねて行きます。


下地葺きが終わるとすぐ次の作業工程です。こちらは2階屋根での作業の様子。下地葺きの上に並べられた瓦用の桟の上に墨付けを行っている様子です。この印を基準にして瓦を葺いて行きます。



こちらでは屋根裏用の換気を行うための棟換気部材を取り付けている様子です。今回既存1階と2階とにそれぞれ2ケ所づつ設けることになりました。棟換気は屋根頂部に切り込みを行い小屋裏に籠もる熱気を屋根頂部から屋外へと排出する部材です。設置はビスで留め付けた後、防水テープで両端部を固定します。


下地葺きの工程が整ったらいよいよ仕上げ用の瓦葺きです。瓦工事は従来地上から小さな梯子と職人さんの手により屋根上へと持ち上げられていましたが、今は省力化と効率化を図り架台を使いクレーンで持ち上げられるようになりました。屋根上で瓦職人さんが待機し瓦の荷降ろしを行います。



クレーンからの荷降ろしが済むとすぐに屋根面へ瓦を載せる作業に移ります。ここからは作業も急ピッチ。この辺りは監理でも特に指示することなく、職人さん任せであっという間に瓦が屋根面に並べられます。一見こうして並べてあると歩くスペースも限られたりと作業がし辛い感じもしますが、この状態が一番効率良く瓦を葺いて行ける様です。


こちらが平瓦葺きの様子。瓦は下地の瓦桟に合わせ置き上部の留め付け用の穴からビスを打ち込み瓦を固定して行きます。改修前ではこの瓦の下は瓦留め用の土葺きが施されていたので今回の改修で屋根重量もだいぶ軽量化される運びとなります。


各部位の瓦葺きのすべてが終わり改修工事の完了を迎えました。40年ぶりに葺き替えされた瓦は新築同様に勝るとも劣らず新しくなり、先に行った外壁の塗り替え工事と相まって見栄え良くなりました。改修を依頼された住まい手さまも更にまた新しくなった住まいを非常に喜んで頂きました。

この住まいではまだお伝え出来ていない工事の他、引き続きご相談を頂いてるリフォームもありますので、今後のブログで引き続き掲載して参ります。工事関係の皆様方ご協力ありがとうございました。