耐震リフォーム(耐震補強・耐震改修)の必要性は感じているけれど、補強や改修には費用もかかることなので簡単には踏み切れない…という方も多いのではないでしょうか?
実は現在、宮崎県の他、全国各地の自治体において耐震リフォームや補強工事について助成制度が設けられています。そこでこのコラムでは、耐震診断は済ませているけど耐震リフォームは行っていない方、またこれから改修についてお考えの方へ、お役に立てる内容をお伝えします。宮崎で耐震補強または耐震リフォームをお考えの方はぜひご覧ください。
耐震リフォーム…ほんとに必要…?
意外と進まない耐震改修(補強)への動き
上のグラフはとやま建築デザイン室が過去5年間において耐震診断調査から耐震改修(リフォーム含む)工事へと進んだ耐震改修の実績です。割合で示すと10人の方が耐震診断を依頼され、そのうち3人の方が耐震改修を行ったという状況ですが、当社ではこの実績を5割まで増やすことを目標としています。
現在改修は3割にとどまっていますが、改修工事へ至らない理由には以下のような要因があると感じています。
- お金をかけるほどの効果をつかみにくい
- (地震が)来るか来ないかわからないから耐震性を強化する必要性を感じない
- 工事が面倒くさい(気をつかう等)
- お金がない(かけたくない・かけられない・ゆとりがない)等
- 高齢のため費用をかけてまで行うのがもったいない
いかがでしょうか?
すべての診断を終えた住まい手の方に確認できた訳ではありませんが、進まない状況の要因としてあてはまることがあるのではないでしょうか?
耐震改修の効果について
そこで地震が起きた時に改修した住まいとそうでない住まいとで、どれくらいの被害になるかを関係づけた耐震改修チャートを使いながら説明します。
この耐震改修チャートは、実際に改修工事をお伝えする際にも住まい手様へ説明しているものです。
表の読み方をご説明します。
耐震改修チャートの枠の中に記載されている0.4~1.3の数字は、住まいの評点を表しています。表の横軸が地震の震度、縦軸が被害の程度を示しており、震度ごとにどの程度の被害が発生するかを確認することができます。
例えば評点が0.4の住まいの場合、震度5弱では小破、震度5強では大破、震度6弱以上になると倒壊するおそれがあることがわかります。それに対し、最も評点の高い1.3の住まいは、震度5強までは無被害、震度6弱で小破、震度7でも大破という結果になっています。
このことから、評点が高い住まいほど地震の被害を抑えることができ、大地震が起こった場合でも命が守られる可能性が高まるということがわかります。反対に、評点が低い住まいはできるだけ早く耐震性を強化する必要があります。
被害を示す図では、地震によって住まいがどれくらい傾く(変形する)のかを「無被害」から「破壊」までの5段階で表しています。
無被害と小破までは簡単な補修工事を行うことで、引き続き住み続けることができますが、中破になると修復に多額の費用が発生し、しばらくは避難生活を送ることが予想されます。それ以上の大破、倒壊レベルの被害を受けた住まいは、修復が困難または不可能なため、元の生活に戻ることはできません。
いかがでしょうか?
いずれも現在の住まいの診断の評点もしくは耐震補強後の評点を基準として被害との関係を示していますが、客観的に強度と被害を見るものとしてわかりやすいものと思います。診断で終わっている方やまだ診断していない方などは、現在のお住まいの評点を知り震度と被害の関係を知る必要があります。
耐震改修(リフォーム)の費用と概算の算出法
耐震改修工事費はおおむね100~150万円
(財)日本建築防災協会発表の耐震改修工事費用実態調査業務の報告書によると、耐震改修工事は100万~150万円で行われていることが最も多く、全体の半数以上の工事が約187万円以上で行われていると報告されています。
助成制度を利用することで自己負担は少なくなります
耐震診断や耐震工事を行う際は国や県の他、市町村での助成制度があります。宮崎県においては以下の木造住宅と条件を満たす住宅に助成制度がご利用になれます。
・対象となる住宅
昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅(特殊な工法は除く)
・助成条件
「宮崎県木造住宅耐震診断士」による耐震診断・工事監理を受けること
・助成金額
1.耐震診断に対する補助
原則として費用の9割(最大54,000円)
平成25年度から一般財団法人宮崎建築住宅センターが6,000円を補助し、合計60,000円の補助を行っています。
2.耐震化総合支援(耐震改修設計+耐震改修工事)に対する補助※2019年4月開始の新制度
①総合支援制度 耐震改修設計+耐震改修工事のパッケージ支援
(1)一般型耐震改修工事
原則として改修工事費の8割を補助(最大100万円)
(2)段階型耐震改修工事
1段階目 最大60万円 2段階目40万円
②安全住宅住み替え制度 耐震性のない住宅からの住み替えを支援
(1)除却工事 原則として工事費の23%補助(最大34.5万円)
(2)建替工事 原則として工事費の23%補助(最大38.0万円)
耐震改修工事費の概算を知る方法
耐震改修工事費がどれくらい必要になるかを知りたい場合、(財)日本建築防災協会が算定した「単位費用」を用いて概算の工事費を知ることができます。
とやま建築デザイン室の耐震リフォーム事例
とやま建築デザイン室で過去に行った耐震改修(耐震リフォーム含む)事例をご紹介します。
事例1 H邸 耐震診断+耐震補強+沈下改修+キッチンリフォーム | |||||||||
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耐震補強に合わせ家の沈下改修を行い安心な住まいへ改修
総工費:193万円 助成金:50万円 住まい手負担費:143万円 築年:昭和55年 床面積:106㎡ |
事例2 M邸 耐震診断+耐震補強 | |||||||||
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暮らしはそのままにポイントを絞り補強を行いました
総工費:123万円 助成金:58万円 住まい手負担費:65万円 築年:昭和52年 床面積:100㎡ |
事例3 I邸 耐震診断+耐震補強+キッチンリフォーム | |||||||||
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耐震補強に合わせ間取り変更及びキッチンリフォームで新しい住まいに変身
総工費:260万円 助成金:75万円 住まい手負担費:185万円 築年:昭和48年 床面積:141㎡ |
事例4 N邸 耐震診断+耐震補強 | |||||||||
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費用がかかる和室内の補強を抑えながら全体の耐力を強化
総工費:172万円 助成金:75万円 住まい手負担費:97万円 築年:昭和54年 床面積:117㎡ |
事例5 K邸 耐震診断+耐震補強+屋根リフォーム | |||||||||
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耐震補強に合わせ屋根瓦を板金屋根に改修して軽量化UP
総工費:184万円 助成金:75万円 住まい手負担費:109万円 築年:昭和49年 床面積:133㎡ |
事例6 N邸 耐震診断+耐震補強+キッチンリフォーム | |||||||||
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耐震補強に合わせ既存台所を明るいキッチンへとリフォーム
総工費:215万円 助成金:30万円 (※昭和56年後) 住まい手負担費:185万円 築年:平成2年 床面積:122㎡ |
事例7 A邸 耐震診断+耐震補強 | |||||||||
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耐震補強に合わせ室内を明るい壁紙に変身 部屋も明るく変身しました
総工費:195万円 助成金:75万円 住まい手負担費:120万円 築年:昭和54年 床面積:130㎡ |
上記7件で行った耐震改修工事による単位費用をまとめると最大は24,000円(評点・㎡)、最少で16,000円(評点・㎡)、平均で表すと20,800円(評点・㎡)となります。先にお伝えしました(財)日本建築防災協会の27,000円(評点・㎡)より低い単価です。
被害を防ぐために いまできること
熊本被災地をひとり歩いて感じたこと
2016年4月14日と16日に熊本地方で発生した熊本地震。
震度7を記録したその状況はどんなものだったのかという想いで地震発生から2週間後現地入りしました。一番甚大な被害を起こしていた益城に着くと、そこはまるで戦争によって大きな爆撃でも起きたかのように見渡す限り道路も建物もすべてが大きく歪み、自然が起こしたエネルギーの爪跡の大きさに絶句し言葉を失い同時に大きな無力感に包まれました。
天災は忘れた頃にやって来る、といつから言われ始めたのかはわかりませんが、人が地に家を築きその上で暮らしや生活を営み続けて行く以上、この地震から必要なことを見直しまた改め、前に進むことを覚えました。
とやま建築デザイン室では、耐震診断の調査からリフォーム改修などを含めた耐震リフォーム(補強設計)まで設計業務の一環で取り組んでいます。住まいの耐震性やリフォームを行う際の計画などをご提案いたします。
相談は無料です。宮崎で耐震リフォームをお考えの方はお気軽にご相談お問い合わせください。
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